VPSとは?EAを24時間稼働させる方法を初心者向けに解説
目次
EAを24時間動かしたいと考えたときに、よく登場するのが「VPS」です。
VPSを使えば、自宅のパソコンを常に起動しておかなくても、MT4やMT5を稼働させてEAによる自動売買を続けられます。
一方で、「VPSとは何なのか」「普通のパソコンと何が違うのか」「本当に必要なのか」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、VPSの仕組み、EAで利用するメリット・注意点、選ぶときのポイント、MT4・MT5を設置する基本的な流れを初心者向けに解説します。
EAを始めるために必要な準備全体を確認したい方は、先に次の記事もご覧ください。
FX自動売買EAを始めるために必要なもの|初心者向け準備ガイド
VPSとは?
VPSとは「Virtual Private Server」の略称で、日本語では「仮想専用サーバー」と呼ばれます。
簡単にいうと、インターネット上に用意された、自分専用として使える仮想的なパソコンです。
EAの運用では、一般的にWindowsが利用できるVPSへMT4またはMT5をインストールし、その中でEAを稼働させます。
自宅のWindowsパソコンからVPSへ接続し、通常のパソコンと同じようにマウスやキーボードで操作します。
EAでVPSを使う理由
EAは、MT4またはMT5が起動している間だけ動作します。
自宅のパソコンでEAを動かしている場合、次のような状況ではEAが停止します。
- パソコンの電源を切った
- パソコンがスリープ状態になった
- MT4またはMT5を終了した
- Windowsの更新で再起動した
- 自宅のインターネット回線が切れた
- 停電が発生した
- パソコンが故障した
VPSを利用すると、EAを自宅のパソコンではなく、インターネット上のサーバーで稼働できます。
そのため、自宅のパソコンを閉じたあとも、VPS内のMT4・MT5とEAは稼働を続けられます。
自宅パソコンとVPSの違い
| 比較項目 | 自宅パソコン | VPS |
|---|---|---|
| 設置場所 | 自宅やオフィス | VPS事業者のデータセンター |
| 電源管理 | 自分で管理 | 事業者側で管理 |
| インターネット回線 | 自宅回線を使用 | データセンターの回線を使用 |
| パソコンを閉じた場合 | EAも停止 | VPS内のEAは継続可能 |
| 停電の影響 | 自宅の停電で停止 | 自宅の停電による影響を受けにくい |
| 利用料金 | 追加料金は不要 | 月額料金などが必要 |
| 外出先からの操作 | 設定が必要な場合がある | リモート接続で操作しやすい |
VPSを使うメリット
自宅のパソコンを閉じてもEAを動かせる
VPS内でMT4・MT5とEAを稼働させておけば、自宅のパソコンを終了しても自動売買を継続できます。
自宅パソコンは、VPSへ接続して設定や確認を行うために使用します。
24時間稼働させやすい
FX市場は、平日にほぼ24時間動いています。
VPSを利用すると、仕事中や睡眠中でも、EAが取引条件を監視し続けられます。
自宅の停電や回線トラブルの影響を減らせる
自宅で停電が発生したり、インターネット回線が切れたりしても、VPS側の稼働に問題がなければEAは停止しません。
外出先から確認できる
インターネットへ接続できる環境であれば、パソコンやスマートフォンからVPSへ接続し、MT4・MT5の状態を確認できます。
ただし、スマートフォンからVPSを操作できても、細かな設定やファイル操作はパソコンの方が行いやすいです。
複数のMT4・MT5を管理しやすい
十分な性能のVPSであれば、複数のMT4・MT5をインストールして、複数口座や複数EAを管理できる場合があります。
ただし、同時に多くの取引プラットフォームを起動すると、メモリやCPUの使用量が増えます。
VPSを使うデメリットと注意点
利用料金がかかる
VPSは、通常、月額または年額の利用料金がかかります。
安さだけで選ぶと、メモリ不足や動作遅延が発生する場合があるため、利用するMT4・MT5やEAの数に合ったプランを選ぶことが大切です。
初期設定が必要
契約後は、VPSへの接続、Windowsの設定、MT4・MT5のインストール、EAの設置などを行う必要があります。
通常のWindowsパソコンを操作できる方であれば、基本的な流れは大きく変わりません。
VPSも完全に停止しないわけではない
VPSは安定稼働を目的としたサービスですが、メンテナンス、障害、再起動などにより停止する可能性があります。
VPSを利用している場合も、定期的な稼働確認は必要です。
Windows Updateで再起動する場合がある
Windowsの更新によりVPSが再起動すると、MT4・MT5が閉じた状態になる場合があります。
再起動後にMT4・MT5とEAが正常に動いているか確認してください。
性能不足で動作が重くなる場合がある
メモリやCPUが不足すると、MT4・MT5の動作が遅くなったり、EAの処理が不安定になったりする可能性があります。
複数のチャート、EA、インジケーターを使用する場合は、余裕のある性能を選びましょう。
VPSは必ず必要?
VPSは、EAを利用するために必ず必要というわけではありません。
自宅のWindowsパソコンを起動したままにし、安定したインターネット環境を維持できる場合は、自宅パソコンでもEAを稼働できます。
VPSがなくてもよいケース
- まずEAの設置方法を試したい
- 短時間だけEAの動作を確認したい
- 自宅のパソコンを常時起動できる
- 停電や回線トラブルが少ない環境である
- EAを使わない時間帯は手動で停止する
VPSがおすすめのケース
- EAを24時間稼働させたい
- 仕事や外出中もEAを動かしたい
- 自宅パソコンを常に起動したくない
- 夜間も取引するEAを利用する
- 複数のMT4・MT5を管理したい
- 自宅回線や停電の影響を減らしたい
EA用VPSを選ぶときのポイント
Windowsが利用できること
MT4・MT5をそのままインストールする場合は、Windows環境が利用できるVPSを選びます。
Linux専用VPSでは、初心者が通常の方法でMT4・MT5を動かすのは簡単ではありません。
メモリ容量
メモリは、MT4・MT5やEAを安定して動かすために重要です。
必要な容量は、起動するMT4・MT5の数、チャート数、EA数、インジケーター数によって変わります。
最小構成ぎりぎりではなく、余裕のあるプランを選ぶのがおすすめです。
CPU性能
EAの計算、複数チャートの表示、バックテストなどではCPUを使用します。
通常のEA運用だけであれば極端に高性能なCPUが必要とは限りませんが、複数のEAを動かす場合は余裕が必要です。
ストレージ容量
MT4・MT5本体、価格履歴、ログ、EAファイルなどを保存するための容量が必要です。
長期間使用するとログや履歴データが増える場合があります。
FX会社のサーバーに近い地域
VPSの設置地域が、利用するFX会社の取引サーバーに近いほど、通信時間が短くなる可能性があります。
ただし、利用者の居住地ではなく、FX会社の取引サーバーとの距離が重要です。
稼働率とサポート
長時間EAを動かすため、安定性や障害対応も重要です。
初心者の方は、日本語サポートの有無、設定ガイド、問い合わせ方法なども確認すると安心です。
バックアップ機能
VPS事業者によっては、スナップショットやバックアップ機能を提供している場合があります。
バックアップがあれば、設定ミスや不具合が発生したときに復元しやすくなります。
どの程度の性能が必要?
必要なVPS性能は、EAの数や利用方法によって異なります。
一般的には、次の項目が増えるほど必要な性能も高くなります。
- 起動するMT4・MT5の数
- 開いているチャートの数
- 稼働するEAの数
- 使用するインジケーターの数
- 価格履歴やログの量
- 同時に行う作業
1つのMT4・MT5で、少数のチャートとEAを動かす場合は比較的軽い構成でも利用できることがあります。
複数のMT4・MT5や多数のEAを同時に動かす場合は、メモリやCPUに余裕のあるプランを選んでください。
VPSへ接続するために必要な情報
VPSを契約すると、通常は次のような接続情報が案内されます。
- 接続先のIPアドレスまたはホスト名
- ユーザー名
- 初期パスワード
- 接続ポート
- 管理画面のログイン情報
これらはVPSへ接続するための重要な情報です。
第三者へ共有せず、安全な場所で管理してください。
WindowsパソコンからVPSへ接続する方法
Windowsパソコンでは、標準の「リモートデスクトップ接続」を使ってVPSへ接続できます。
- Windowsの検索欄を開きます。
- 「リモートデスクトップ接続」と入力します。
- リモートデスクトップ接続を起動します。
- VPS事業者から案内されたIPアドレスを入力します。
- ユーザー名とパスワードを入力します。
- 接続を開始します。
接続に成功すると、VPS内のWindowsデスクトップが表示されます。
あとは通常のパソコンと同じように、ブラウザを開いたり、MT4・MT5をインストールしたりできます。
MacからVPSへ接続する方法
MacからWindows VPSへ接続する場合は、リモートデスクトップ用のアプリを使用します。
アプリにVPSのIPアドレス、ユーザー名、パスワードを登録し、Windowsのデスクトップへ接続します。
アプリの名称や画面は更新される場合があるため、利用している環境の案内をご確認ください。
スマートフォンからVPSへ接続できる?
リモートデスクトップ対応アプリを使用すれば、スマートフォンからVPSへ接続できる場合があります。
スマートフォンからは、主に次のような確認に向いています。
- MT4・MT5が起動しているか
- EAがチャートへ設置されているか
- 接続エラーが出ていないか
- Windowsが再起動していないか
EAファイルの設置や細かなパラメーター設定は、パソコンから行う方が操作しやすいです。
VPSへMT4・MT5をインストールする流れ
VPSへ接続したら、利用するFX会社の公式サイトなどからMT4またはMT5をダウンロードします。
- VPSへリモート接続する
- VPS内のブラウザを開く
- 利用するFX会社のMT4・MT5をダウンロードする
- インストーラーを起動する
- MT4またはMT5をインストールする
- 取引口座番号とパスワードでログインする
- 正しいサーバーを選択する
- 接続状態を確認する
MT4・MT5は、自宅パソコンではなくVPS内へインストールしてください。
VPSへEAを設置する方法
EAの設置方法は、自宅のWindowsパソコンで行う場合と基本的に同じです。
EAファイルをVPSへ移し、MT4またはMT5のデータフォルダ内へ保存します。
MT4の場合
MQL4\Experts
MT5の場合
MQL5\Experts
EA本体以外にライブラリやインジケーターが含まれている場合は、付属マニュアルで指定されたフォルダへ保存してください。
自宅パソコンからVPSへEAファイルを移す方法
リモートデスクトップ接続の設定によっては、自宅パソコンからVPSへファイルをコピーできます。
代表的な方法は次のとおりです。
- コピー&ペーストで移動する
- リモートデスクトップでローカルドライブを共有する
- VPS内のブラウザからEAパラダイスへログインしてダウンロードする
- クラウドストレージを使用する
EAパラダイスからダウンロードする場合は、VPS内のブラウザでEAパラダイスへログインし、対象EAをダウンロードする方法が分かりやすいです。
共有パソコンや第三者管理の環境では、ログイン情報やEAファイルの取り扱いにご注意ください。
VPSでEAの認証を行う
VPSでEAを利用する場合も、認証に登録する情報は、実際に利用する取引口座番号とサーバー名です。
VPSのIPアドレスやWindowsのユーザー名を、取引口座番号の代わりに登録するわけではありません。
EAパラダイスでは、EAによって次の認証方式があります。
認証ステータスが利用可能な状態になっていることを確認してから、VPS内のMT4・MT5でEAを起動してください。
VPSを閉じるとEAも停止する?
リモートデスクトップの画面を閉じるだけであれば、通常はVPS自体は停止しません。
VPSへ接続している画面を切断しても、VPS内でMT4・MT5が起動していればEAは動作を続けます。
ただし、次の操作には注意してください。
- VPSのWindowsをシャットダウンする
- VPSを再起動する
- MT4・MT5を終了する
- EAをチャートから削除する
- 自動売買を無効にする
- VPS契約を停止する
リモートデスクトップを閉じるときは、「シャットダウン」ではなく、接続画面を閉じるだけにしてください。
VPS再起動後の注意点
VPSが再起動した場合、MT4・MT5が自動的に起動しないことがあります。
再起動後は、次の項目をご確認ください。
- Windowsへログインできるか
- MT4・MT5が起動しているか
- 取引口座へ接続されているか
- EAがチャートへ設置されているか
- 自動売買・アルゴリズム取引が有効か
- 認証が有効か
- エラーが表示されていないか
MT4・MT5を自動起動させる方法
VPS再起動後にMT4・MT5を自動で起動したい場合は、Windowsのスタートアップへショートカットを登録する方法があります。
ただし、Windowsへの自動ログイン設定やセキュリティ設定によって、期待どおりに起動しない場合があります。
自動起動を設定していても、定期的な確認は必要です。
複数のMT4・MT5を入れる場合の注意点
同じVPSへ複数のMT4・MT5をインストールすることもできます。
ただし、同じ場所へ上書きインストールすると、設定やEAが混在する可能性があります。
複数利用する場合は、次のように分かりやすく管理してください。
- FX会社ごとにインストール先を分ける
- 口座番号ごとにショートカット名を変更する
- デスクトップ上でフォルダ分けする
- EA名・口座番号・サーバー名を記録する
- どのMT4・MT5でどのEAを動かしているか一覧にする
複数のEAを同時に稼働する場合は、VPS性能だけでなく、取引口座全体のリスクにもご注意ください。
VPSでEAが動かないときの確認事項
VPSへEAを設置しても動かない場合は、次の項目をご確認ください。
- MT4・MT5が起動しているか
- 取引口座へ接続されているか
- 正しい口座番号・サーバーでログインしているか
- EAが正しいチャートへ設置されているか
- 推奨通貨ペア・時間足になっているか
- 自動売買・アルゴリズム取引が有効か
- 認証ステータスが有効か
- WebRequestが必要な場合に設定されているか
- DLLが必要な場合に許可されているか
- VPSがインターネットへ接続されているか
- メモリやCPUが不足していないか
- エキスパートや操作ログにエラーが出ていないか
VPSのセキュリティ対策
初期パスワードを変更する
VPS契約時に発行された初期パスワードは、推測されにくい強力なパスワードへ変更してください。
接続情報を第三者へ共有しない
IPアドレス、ユーザー名、パスワードを知られると、VPSへ不正に接続される可能性があります。
不明なソフトを入れない
EAの運用に不要なソフトや、信頼できないファイルをVPSへインストールしないでください。
Windowsとセキュリティ機能を更新する
重要な更新を放置すると、セキュリティ上の問題につながる場合があります。
ただし、更新後に再起動が必要になる場合があるため、EAの稼働状態も確認してください。
EAファイルや口座情報を安全に管理する
EAのソースファイル、取引口座のパスワード、EAパラダイスのログイン情報などを、第三者へ送らないでください。
VPS運用中の定期チェックリスト
VPSを利用していても、完全放置はおすすめできません。
定期的に次の項目をご確認ください。
- VPSへ接続できるか
- MT4・MT5が起動しているか
- 取引口座へ接続されているか
- EAがチャートへ設置されているか
- 自動売買が有効になっているか
- 認証が有効になっているか
- エラーログが出ていないか
- Windowsが再起動していないか
- メモリやCPUが高負荷になっていないか
- ストレージ容量が不足していないか
- 口座残高や含み損が想定範囲内か
- VPSの契約期限や支払いに問題がないか
よくある質問
VPSへ接続しているパソコンを閉じても大丈夫ですか?
リモートデスクトップの接続画面を閉じるだけであれば、通常はVPS内のEAは動作を続けます。
VPS自体をシャットダウンしないようにご注意ください。
スマートフォンだけでVPSを設定できますか?
接続や簡単な確認はできる場合がありますが、MT4・MT5のインストールやEAファイルの配置は、パソコンから行う方が分かりやすいです。
VPSを変えるとEAの再認証が必要ですか?
EAの認証方式によって異なります。
口座番号とサーバー名が変わらなければそのまま利用できる場合もありますが、EAの仕様により再認証が必要になることがあります。
1つのVPSで複数EAを動かせますか?
VPSの性能とEAの仕様に余裕があれば可能です。
ただし、EA数やチャート数が増えるほど、メモリやCPUの使用量が増えます。
VPSを契約したら自動でEAが動きますか?
いいえ。VPSへMT4・MT5をインストールし、取引口座へログインし、EAの設置と認証、自動売買の有効化を行う必要があります。
VPSなら絶対にEAは止まりませんか?
いいえ。VPSでも障害、メンテナンス、Windows Update、性能不足などにより停止する可能性があります。
定期的に稼働状態をご確認ください。
まとめ
VPSは、インターネット上に用意された仮想的なWindowsパソコンです。
VPSへMT4・MT5とEAを設置することで、自宅のパソコンを閉じたあとも、EAを24時間稼働させやすくなります。
主なメリットは次のとおりです。
- 自宅パソコンを常時起動しなくてよい
- 24時間EAを稼働させやすい
- 自宅の停電や回線障害の影響を減らせる
- 外出先から確認できる
- 複数のMT4・MT5を管理しやすい
一方で、VPSの利用料金、初期設定、Windows Update、性能不足、定期確認などの注意点もあります。
初心者の方は、まず自宅パソコンでMT4・MT5とEAの操作を理解し、その後、24時間運用が必要になった段階でVPSへ移行する方法もおすすめです。
VPSを利用する場合も完全に放置せず、MT4・MT5の接続状態、EAの認証、エラーログ、口座残高などを定期的に確認しましょう。
